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京都随一の「謎の洋館」へ、あめりか屋の代表作を特別案内

旧革島医院

京都 | 中京

開催概要・申し込み

京都最大の繁華街からすぐ近く、誰もが目を奪われる、ツタで覆われたミステリアスな洋館。2011年から、長らく閉鎖されてきた国の登録有形文化財が、ついに建築ツアーで開かれます。まるで“魔女の館”のようなハーフティンバーの建築が、実は当時最先端の外科病院?美術タイルの最高峰「泰山タイル」が彩る壁泉。画期的な“患者ファースト”のデザイン。時を止めたようにそのまま残された、貴重な内部を特別案内。日本の洋風住宅の草分け「あめりか屋」の代表作を、全身で体感してください。

建築プロフィール

●1936(昭和11)年 竣工

●名称:旧革島医院

●設計・施工:あめりか屋京都店(現あめりか屋)担当:首藤重吉

●2005年 国登録有形文化財に登録

1.  ツタに覆われた“謎の洋館”の正体は?

京都を訪れたことがある人なら、一度は前を通り、心奪われたことがあるのではないでしょうか。目を引くのは、円錐形の屋根をかけた、タイル張りの塔。そして、まるで中世北ヨーロッパ、木の骨組みを露出させた「ハーフティンバー」の洋館。昭和初期の貴重な大規模医院建築として高く評価され、国の登録有形文化財に登録されています。

ところが、2011年に閉院して以来、長らく閉鎖。ツタに覆われ、まるで絵本に出てきそうなロマンティックな存在感も相まって、京都随一の“謎の洋館”としてヴェールに包まれてきました。

2026年、この旧革島医院が、建築ツアーでついに開かれます。なぜ、京都の街中に“魔女の館”のような建築が?画期的かつ個性的な、内部のデザイン。鍵を握る、四世代に渡り受け継がれてきた思いを読み解きつつ、足を踏み入れてみましょう。

このユニークな建築デザインを考案したのは、初代院長の革島彦一。ドイツ留学中に見たお城に憧れ、とんがり屋根の尖塔や、ドイツ民家によく見られるハーフティンバーが使われました。なんと自ら、図面を30回引き直したと、「革島外科病院 御一覧の栞」に記されています。

そう、これは昭和11年、今の建物が竣工したときにつくられた記念冊子。貴重な写真や図面、かかった費用、建築や設備の案内まで、せきららに記されています。こんな冊子を自らつくるほど、こだわり尽くされた洋館なのです。

設計・施工を担ったのは、日本に洋風住宅を普及させる草分け「あめりか屋」。彦一は、あめりか屋の担当者に「不眠症に陥るほどの難題」を言い続け、ついに完成に至ったといいます。

なぜ彦一は、そこまで建築にこだわったのでしょうか。たんなる趣味だけではありません。当時、最先端の医学といえば西洋医学、なかでも日本が範を求めたのがドイツ医学でした。ヨーロッパの医療を実践する革島病院は、それを象徴するために、ドイツ的な洋館とする必要があったのです。

ドイツ北部には魔女伝説が色濃く残り、それで私たちは、この建築に“魔女の館”を感じるわけです。しかし、よく見ると、腰壁にはスクラッチタイルが張られ、壁にはモルタル塗りが。昭和初期ならではの流行も巧みに融合された名建築を、間近で堪能してください。

2. 革新的な「患者ファースト」の間取り&デザイン

革島医院の斬新さは、なかに入ると一層際立ちます。あめりか屋さんも「画期的かつ個性的」とうなるほどの内部を、建築ツアーでめぐりましょう。“患者ファースト”のデザインが、至るところに溢れています。

玄関を入ると、タイルの美しい「壁泉」が。絶えず流れ出ていた清水で、患者の泥を洗うために設置されました。京都で生み出された、美術タイルの最高峰「泰山タイル」が優しく彩りを添えています。待合室には、留学へ向かう船旅の思い出からでしょうか。船を思わせる丸窓がいくつも設けられ、ステンドグラスが来訪者を楽しませます。

実感してほしいのは、日当たりです。本来なら、日当たりのよい南側は住まいの特等席。家族の居住空間にあてたかったはずです。しかし、彦一は、光降り注ぐ南側に医院部分を、住まいは北側におきました。

2階の入院室では、天井を見比べてください。部屋ごとに異なるデザイン。上を向いて寝る患者さんへの心くばりがあらわれています。院内には気分転換できるように「ビリヤード室」や「サンルーム」まで設けられ、患者さんが心地よく過ごせるような工夫が尽きません。

建物の中央には、彦一が「外科の生命」と力を入れた手術室が。厳密な清潔さが求められたドイツ式で、壁一面が真っ白なタイル張りです。最先端の医療の実践と、患者さんへのあたたかな心くばりの融合。「形態は機能に従う」と言ったのは、建築家ルイス・サリヴァン。“患者ファースト”の追求が生んだ、画期的かつ個性的なデザインを体感してください。

3. 初代からひ孫へ。時を超えて守り継ぐ建築のバトン

診察室に足を踏み入れば、いまも、革島先生がそこにいるかのよう。本もそのままに、カルテもそのままに。まるで時を止めたように、在りし日の姿が残されています。

初代彦一、2代目貞彦、3代目尚彦さんと、三世代の医師が受け継ぎ、2005年には国の登録有形文化財に登録された、奇跡の医院建築。しかし、2011年には尚彦さんが病を患い、その後、お亡くなりになりました。革島医院も急遽閉院となり、長らく手つかずの状態となりました。

3代目尚彦さんは生前、文化財のモダン建築に暮らし、維持する苦労を新聞記事で語っています。「祖父が心血を注いで建てたものです。つぶすことも売ることもできません」。そして、文化財登録のメリットを実感することは難しいが「一円でも公費をもらったからには、私だけの所有物とは言えない」と。「私はここでずっと診療を続けるつもりです。その後は、子どもたちに期待するしかありません」。

そしていま、尚彦さんの奥様や4代目の歓さんが、この建築を受け継ぎ、後世へと残すために尽力しています。世代を超えた人々の思いを感じていただくべく、旧革島医院は一般公開ではなく、この建築ツアーでのみの公開となります。

文化財保護の制度が充分とは言いにくい日本では、建築の維持管理の負担は、所有者の肩に重くのしかかっています。この建築ツアーの参加費の一部は、旧革島医院の保全費用として充てられます。文化財の新たな維持活用モデルに、私たちはチャレンジします。

尚彦さんは生前、こう語っています。「先祖が残してくれた建物を、望んで壊した人が果たしてどれだけいたでしょう」。しかし「個人でできることには限界があります」。

みなさまのツアーへの参加が、建築を未来へとつなぐ一助となります。

昭和初期の病院兼住宅として、これだけ大規模な建物が現存するのは全国的にも珍しい――。そう語るのは、革島医院が建てられて以来、90年に渡って改修やメンテナンスを担う「あめりか屋」の山本英夫社長。そう、京都あめりか屋初代社長・山本磯十郎の孫にあたります。革島医院の建物は今でも、施主と施工会社のひ孫と孫が、手を取り合って守ろうとしています。

「革島医院が現存しているのは、尚彦先生の強い思いがあったからこそ。これまで不動産関係者がイヤというほど押しかけてきても、強くはねつけてきた。尊敬の念を抱きます」。

「この建築を残したい」。その切なる願いが時を超えて、奇跡的に結実したのが、いまの旧革島医院の姿です。初代が憧れたドイツの風景と、患者さんへの優しいまなざし、そしてそれを守り抜こうとする家族と施工者の絆。奇跡の洋館の息づかいを、実際にその場所に身を置き、全身で体感してください。

  • ・参考文献

    『京都市の近代化遺産 -京都市近代化遺産(建造物等)調査報告書- <近代建築編>』(京都市文化市民局、2006)

    『革島外科病院 御一覧の栞』(革島外科病院、1936 / 復刻版:革島尚彦、2006)

    『あめりか屋HISTORY 100年の道のり』(株式会社あめりか屋、2023)

開催概要・申し込み

【開催日時】カレンダーの通り
※満員の場合は「選択された条件ではご利用いただけません」と表示されます。次回募集開始のお知らせを受け取りたい方はこちら

【参加費】 3,000円(税込)※参加費の一部は旧革島医院の維持活用に役立てられます

【定員】 10名

【所要時間】 45分

【コースルート】 旧革島医院 (内部/1階および2階)→ (解散)

【言語】 日本語

【建築情報】
旧革島医院
竣工年|1936年(昭和11年)
設計・施工|あめりか屋京都店(現あめりか屋)担当:首藤重吉
文化財情報│国登録有形文化財

【連絡事項】
靴下を着用してご参加ください。
写真撮影:一部(外観、1階ホール)のみ可
ブログ・SNS上での公開:全エリア不可
使用可能なお手洗い:なし

 

※ツアー開始10分前に受付開始いたします。ツアーは定刻にスタートします。
※雨天決行です。
※写真撮影:一部(外観、1階ホール)のみ可
※SNS投稿:全エリア不可
※ガイドや他の参加者の様子を撮影・録音・録画することはお控えください。
※階段の昇り降りがございます。動きやすい服と靴でお越しください。また靴下の着用をお願いします。
※大きいお荷物はお預けのうえ、ご参加ください。
※中学生以下は、保護者1名につき1名まで同伴無料。2人目からは「大人(高校生以上)」の参加費が必要です。

例:
大人1名+お子さん1名同伴の場合…「大人(高校生以上)1枚」「子ども(中学生以下)1枚」でお申し込みください。
大人1名+お子さん2名同伴の場合…「大人(高校生以上)2枚」「子ども(中学生以下)1枚」でお申し込みください。
大人2名+お子さん2名同伴の場合…「大人(高校生以上)2枚」「子ども(中学生以下)2枚」でお申し込みください。

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